文系、理系、どちらが銀行員に向いている、必要かなどの議論については、適正や性格、社交性などその人次第ということになってしまいます。ただそれでは本末転倒なので、個人的な意見や、一般的にいわれることについて述べたいと思います。
学生の特徴について
学生にとっては、銀行員=経済系の、法律系、経営者と接する場面が多いので、経営系の学問が活かせるのではないか、やりたい仕事がなければとりあえず金融系、その中でも銀行に入っとけば世間体も良いし問題ないかや、嫌になったら3年くらいで転職しようなど、安易に考えていることも多々あると思います。
自分自身もそうでしたので、それについては仕方がないことかなとは思っています。
ただし、私の時代もそうでしたが今ではそれ以上に銀行がおかれている環境はけっして楽観視できない状況であるため、目的意識、自分自身の未来像などをしっかりと描いている学生さんを優先して採用しようとしています。
数年前までの大量採用し、一定数は数年以内にやめるということを加味しての採用活動ではなくなってきているように思います。全員が戦力として、何らかの貢献できる人材に育ってほしいと考えて採用に力を入れていると思います。
そのためまずは、学生としてしっかりと勉強していることがより重要になってくると思います。学生として遊びを含めた勉強以外の様々な経験も必要ですが、勉強という土台があってのことだと思います。銀行員になったら毎年、若い頃は毎月のように資格試験の勉強に追われます。
仕事、勉強、上司や同期との飲み会、休日のデート、学生時代の友人との交流なども同時にこなし、付き合っていかなければなりません。すなわち、学生の身分で勉強できない、していない人はついてこれない可能性が高いです。
よって採用において高学歴を優先することになってしまうのだと思います。大学に入る前には少なくとも勉強をしっかりと行う習慣があり、努力できる人だとわかるからです。
高学歴=ポテンシャルが高い、しっかりと努力できる人材とみなされる可能性、確率の問題です。4大商社などは、少数精鋭で高学歴が足切りとなり、その上での学生時代の積み上げたものが必要でしたが、銀行は大量に高学歴の学生を囲うというイメージにがあるかと思います。
文系と理系の特徴
銀行員は圧倒的に文系の人間が多いと思います。銀行としても学部はとわず幅広く門戸を開いているが、エントリーする学生は7〜8割文系と感じます。そもそも理系人材が少ないということが挙げられますが、理系にとってはメーカーなどでの研究開発などが魅力的な就職先なのでしょう。
就職活動において文系よりも理系の方がやりたい仕事、就きたい職業のイメージや意欲は高いことのあらわれかとも思います。理系の学生にとって銀行の自分の特長を活かせるという仕事のイメージがつきにくいのも要因だと思います。
銀行は専門的な分野で活躍する人材が必要にもかかわらず、そのような人材が育たないのは横並びの人材育成や、採用活動のつけだと思います。DXや市場関係、データ分析、システム関係などに強い理系の優秀な人材を中途で採用し強化しようと必死になっています。
理系の学生は、大学時代は文系の学生よりも忙しく、勉強させられる環境にあると思います。数学、理科が得意不得意はあると思いますが、一般的に同じ大学に入るのは理系の方が勉強量も必要で、大変な場合が多いと思います。
また大学に入る時点で、なんとなく大学に入学したというよりはこの理系の分野を勉強したいと目的を持ってる学生の方が多いと感じます。大学生に行きより専門性を高めたいと考える方も多いです。
よってこれから、銀行は優秀な学生を採用するためにも専門性を身につけられる、理系の知識や数学を活かせるなどをしっかりとPRしていくべきだと思います。
システム系や市場分野以外にも建築や土木、素材、化学、薬剤、など銀行は様々な業種と取引があり、審査部などでしっかりと専門知識を活用できたりもできると思います。
学生からすると預金を集めて、審査して、お金を貸す、投資信託を売る、くらいのイメージしかわかないと思います。理系でしっかりと勉強に励んできた人の活躍できるフィールドをしっかりと示してあげることで、優秀な学生を集めていくべきです。
入社後の競争も厳しくなりますが、銀行員全体の平均値、能力をあげるには非常に必要だと思います。周りの環境で人は変わります。
今働いていて感じることです。理系の人の方が、真面目で勉強熱心=仕事熱心である方の割合が高いです。一般的なコミュニケーション水準があれば理系人材の方が営業していても顧客に好かれることが多いように感じます。日本の古い、年配の経営者はそのようなキャラの方が好む傾向にもあります。
勉強しない同期、目標、目的がなく意識が低い同期が多くいては、成長の可能性が下がってしまいます。銀行の採用、求める人材をしっかりと発信し、活躍できる環境があると示していくべきです。男女の採用数や、多様な働き方などのアピールばかりでは、銀行そのものが衰退していくと思います。
若いうちは多少の激務でも人生の経験として前向きに捉えて働こうという意識の学生と働きたいです。若いうちにワークライフバランスばかり気にすると成長が止まってしまい、将来後悔する場面もあることなど、伝えていきたいと思います。
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