業況が厳しい企業が考えるべきこと

専門知識

業況が厳しい企業が銀行に対し、どのように対応すれば信頼を得ることができるか、調達を行うことができるか私が考えることをお伝えします。現状分析と要因、改善計画、アクションプラン、定期的な報告が重要となります。

現状分析と要因

まず業況が厳しい企業が長らくその状況を打破することができていない原因として現状分析と要因が明確になされていないということがあげられます。何からしていいかわからないのであれば銀行員に聞いてみてください。それなりの経験がある銀行員であれば、決算書の内容からある程度の仮説は立てられるものです。

粗利率が低いのであれば、売上に原因があるのか、原価に原因があるのか。さらに売上は販売数量と単価どちらに問題があるのか、原価は材料費、労務費、経費どこに問題があるのか。より細かく整理していく必要があります。そのためにも日頃からしっかりと決算書、試算表を作成しましょう。ふ

原価計算がされていない、売上が部門別となっていないなどは管理体制にそもそも問題があるともいえます。その場合は顧問税理士や外部のコンサルに相談し是正することも必要になってきます。

改善計画

改善計画は現状分析と要因が明確になっているとより妥当性があるものを策定できます。改善計画は3〜5年計画は少なくとも策定するべきです。そしてしっかりとゴールを設定することです。

経常黒字をいくら計上する、CFをいくら確保する、総債務償還年数を何年以内にするなどが一般的です。それが正常値となっていること、銀行が検証し妥当性が認められることが資金対応もしくはリスケジュールに対応するという判断につながってきます。

よく経営者は改善計画で売上を伸ばす、売上を改善することを主眼に置くことがありますが、しっかりと原価、経費に目を向けて下さい。役員報酬をはじめとしてしっかりと経営者が身を削り、業績と向き合うことが必要です。業績が改善した後、役員報酬をいくらもらおうと銀行は干渉しません。

売上を伸ばすことができなかったら、経費をいくら削減する、人件費をいくら削減するということをしっかりと計画に織込みましょう。その経費の項目と削減する金額、根拠を示すとより信頼性が増します。

外部のコンサルなどでしっかりとした改善計画を策定するためにはそれなりの費用が発生します。それらをケチる経営陣もおりますが、赤字であるという事実から目を背けないで下さい、結果がでていないことについての責任を果たすことです。コンサル費用を捻出するために、役員報酬をその分削減しましょう。

経営者が身を削っているかどうかは、外部の金融機関、社内の従業員たちなど、しっかりとみています。

アクションプラン

改善計画を策定し、満足してしまう経営者がいます。計画を達成するためにもしっかりと行動をしましょう。自身で行動すること、行動を管理してくことが一番難しいのかもしれません。行動し結果を出すことが経営者に求められることです。それから目を逸らしては経営者失格ですし、従業員もついてきません。

具体的にいつ、誰が、何をするのか組織として行動できるようにアクションプランを考えましょう。その上でも経営者が率先して動いてください。繰り返しになりますが、外部、内部共に一番に示すことは役員報酬、接待交際費、旅費交通費、車両費など、経営者として身を削ることがまず第一段階です。

経営者と従業員がしっかりとビジョン、想いを共有し一体となることが重要です。経営者は指示するだけでも自ら行動するだけでもダメです。非常に大変なのですが、会社全体を巻き込むことです。

定期的な報告

銀行に対してしっかりと定期的に報告し、社内の状況を共有してもらうことも重要です。しっかりと外部の目で確認してもらい、間違った方向にいってないか、より良い方向に向かうためにはどうすれば良いか、アドバイスをもらうことも重要です。

銀行はかつて、業況が厳しい先に対してあまり積極的な関与を行なっていなかったと思います。金融円滑化法から、とりあえず条件変更をしておけば銀行として文句は言われないし、問題なしと考え、お金にならないことに多くの時間を投下するべきではないという風潮もあったと思います。

ただ近時においては状況が変化してきております。コロナ禍において今後多くの倒産、企業の業況が悪化し、銀行の決算も引当金の関係から悪化することが想定されます。その中で、業況悪化している企業の再生ということにスポットがあたりつつあります。

具体的には要注意先を正常先、破綻懸念先を要注意先に引き上げるために銀行がコンサル機能を発揮し、再生できそうな企業に深く関与していくことを考えています。お金を貸して、企業が勝手に成長する、成長できず業況が悪化したら、条件変更をすれば良いという時代は終わりました。

最後にやる気、経営改善努力を行う意志がある企業に対してはしっかりとメイン銀行、上位銀行は寄り添ってくれることと思います。逆に銀行としての真価が問われる時代にもなってきています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました