銀行の未来

銀行業界

銀行の仕事は将来的にAIにとって代わられるといわれています。現実として銀行はシステム投資を加速化させており、人員を中長期的に減らしていく傾向にあることは間違いありません。今後の銀行の未来について私自身の考察をしたいと思います。

業界再編

現在銀行業界で起こっていることは、銀行の合併です。背景としては低金利による銀行の本業の儲け(貸出金粗利益)が大きく減少していること、コロナの影響で取引先の信用力低下、引当金の増加による銀行決算が非常に危ぶまれることが大きなものとして考えられます。

そのために銀行はどうすれば良いのか、まず考えられることは売上をあげることです。具体的には貸出先への融資量もしくは利鞘を引き上げる。次にあげられるのが経費を削減する。考え方は一般的な事業会社と変わりません。

そこで考えられるのはどちらが簡単で、実現性が高いか。答えは決まっています、経費を削減することです。銀行の合併はそれを実現するためのものと考えられます。

人口が減少する中で国内経済が発展することは基本的にはありません。歴史的にも例がないです。日本の銀行の主な役割である国内企業に対する融資業務を伸ばすということには限界があります。

そのため売上を伸ばすためにメガバンク、上位地銀などは海外銀行との提携、買収など、国外へ目をむけ、人材や資本を投下しているのです。一般的な地方銀行や信用金庫では早期に参入することは難しい状況です。

銀行の合併でどのようなことが起こるのか、支店統合や不採算店舗の閉鎖による人員削減、システム統合、効率化、投資による人員削減と基本的には人を減らすということに行き着くのです。そして銀行の損益計算書上、一般管理費の人件費というものの割合が非常に大きく効果が高いのです。

銀行の本業の儲け(資金粗利益を含めた、業務粗利益)に対する人件費の比率を示すOHRという指標があります。70%を超える銀行もあれば60%を切る銀行もあり、銀行によって大きく差がでているといえます。簡単にいってしまうとOHR比率が高い銀行同士が合併すると、大きく改善する余地があります。

人員削減は過去のメガバンクも同様なことが起こりました。(メガバンク各行は過去に、銀行が数行合併し誕生しています)

例えば実質的なリストラを行うため、支店長経験のある人物がATMのみ設置する出張所の勤務に追いやられた、学閥で出世ができなくなった、旧銀行の地位が低くその銀行の出身者は左遷された、出向や実質降格させられたなどの話も聞きます。

これと同じことが今後起こるのかと言われると、私は起こらないと思います。なぜか銀行自体の体力や余裕がないからです。使えない人間よりも、能力が高い人間のみが残っていくと思います。旧銀行の地位や、学閥などを気にしていると優秀な人間がどんどん離れていきます

時代が変わっており、銀行もより人物重視、能力重視で評価をせざるを得ない状況に迫られていると思います。先程のメガバンクの実質的なリストラについても実際のところでは、ただ能力が低く、銀行にとって不要な人物が中心に行われていただけかもしれません。

九州地方では福岡銀行Gが非常にシェアが高く、メガバンクが進出しても非常に苦戦しています。今後も地域毎に地方銀行を中心とした銀行Gができていくと考えます。銀行の生き残りのために銀行は合併という選択をせざるえない時代となっています。

AIに変わる業務

AIにとって代わられる業務は何か、基本的には遅かれ早かれ全てになるのではないでしょうか。

テラー業務、それに伴うバックオフィス業務、住宅や自動車ローン、契約業務、本部のバックオフィス業務、銀行によっては今現在においてもかなりスリム化、効率化が図られています。

融資関連業務が最終的にAIにとって代わられるかが、多くの銀行がある中で判断がわかれるポイントではないかと思います。

銀行員と経営者がしっかりと対話を通じ、事業の将来像や想いを形にすること、それをいかに融資に反映させていく銀行がどれだけ残るのか。機械的に審査を行う銀行も出てくると思います。

融資関連業務が私個人的には銀行員のやりがい、喜び、多くの経験を積ませてもらえるという成長の観点から、AIではなく銀行員という人が携わる業務として残ってほしいと思います。

5、10年以内とはならないと思いますが、最後にはどこも残らない、もしくは限りなく縮小していくと思います。

二つの観点からです。

まず1つ目、銀行員が経営者と対話を通じ、決算書の数値以外のものしっかりと見極め融資に織り込むことで今後成長性のある会社や事業性を見極めることができるということはあります。経験上も理解できることですが、逆も当然あり相応のデフォルトリスクもあるということ。(倒産し回収できないリスク)

結局は機械的に行った時と良くて同程度の収益性、もしくはそれ以下となる。デフォルトリスクを融資としての金利に織り込んだとしても収益性は維持できないです。投資の世界のキャピタルゲインを追わなければ、ビジネスモデル上成り立たないです。

よって銀行員という人件費をかけてまで、収益性の観点からAI以外が行うという選択をしないと思います。

商業銀行として生き残れない世界がきっと来ます。銀行自体が生き残るためには投資銀行の色合いを強めていく、そこでは優秀な銀行員という限定になりますが、銀行員が必要とされる世界があると思います。

次に2つ目です。

経営者、起業家の熱意、事業計画に共感、理解してくれる人たち、投資家といわれる人たちと繋がれたり、コミュニケーションをとることができる多くの、様々なプラットフォームが出来上がってくるからです。現時点でいうとクラウドファンディングなどが最たるものかと思います。

すなわち、銀行以外の資金を調達する選択肢が広がってくるからです。銀行間の競争というよりは、全く未知のサービスや、システムが世界中で出来上がり、容易にアクセスできることになると考えます。

最後に、今現在銀行員として自己研鑽を積み、身につけた知識や判断能力については多くの場面で役に立つことはあります。自己を高めるとともに、外部環境の変化に対応できる、予測していくことがこれからの時代に必要だと考えています。

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