信用格付けの仕組み

専門知識

銀行特有の仕事の一つに信用格付けを行うという仕事があります。基本的には支店で格付けを行い、一定の残高以上になったり、信用格付けが非常に低い先などは本部が関与し、最終的な格付けを決定するということになると思います。この信用格付けが銀行においてどんな意味があるのかご説明します。

要注意先と正常先

まず1つ目の要注意先か正常先かの判断基準は赤字企業か黒字企業か。融資担当者がまず赤字か黒字かみる理由の一つに、要注意先か正常先かを瞬時に見極めるためです。例外はありますが、2期連続で赤字となっている際はほぼ確実に要注意先として区分されます。

融資を行う際に、赤字企業か黒字企業かをみるのは返済能力を確認するということと、赤字企業で要注意先となる先に貸出を行うと、引当金と呼ばれるコストを銀行の決算時に計上しなくてはならなくなります。場合によっては貸出を行えば行うほど、実質的に赤字となる可能性があるのです。

銀行の考え方によると思いますが、黒字となっていても当期利益が黒字となっているが、経常利益が赤字の場合は黒字企業とみなさない。経常利益が黒字となっているが、営業利益が赤字だと黒字企業とみなさない、など判断が変わってくることがあります。

私が考えるには本業の状況がどうなっているか、つまり営業利益と経常利益が黒字であるべきと考えます。当期利益は特別損益が加味されるので、特殊要因である増減であり次の期では経常的に発生するものではないからそこまで気にする必要はないと思います。

次に2つ目の判断基準は債務超過か債務超過ではないか。そのため先ほどの営業利益、経常利益が黒字でも当期利益が何期にも渡って赤字となっていればこの2つ目の基準で債務超過、要注意先となってします可能性が高くなります。

銀行内では不良性の資産を控除したり、有価証券や土地の時価評価などを行い実質的に債務超過となっていないかの判断などを行なっていきます。

単純に言い換えるなら、過去の黒字と赤字どっちが大きかったか。過去の決算、損益の状況が積み上がっているもの。財務の健全性として一般的に自己資本比率が重視されるのはこのためです。

まずは企業として資産超過(債務超過ではない)、経常黒字となっている状態を維持してくことが健全といえます。

信用格付けと権限

信用格付けにより無担保で融資できる範囲が違ったり、担保がある際も融資の上限金額が変わってくるのが一般的です。銀行として上限金額がある時もありますが、本部の権限、支店長の権限が定められているのが一般的です。当然支店長の権限は支店の大きさ、格によって変わってきます。

余談ですが、地方の資金量が小さい信用金庫などは無担保融資の権限がなく、信用保証協会融資しか支店の権限がないなども聞いたことがあります。比較的担保主義になりやすいといった傾向はあります。

銀行によって信用格付けは何段階にもわけられているのが一般的です。大手行になれば10段階くらいはあると思います。信用格付けは銀行決算に大きく関わる部分であり重要です。

繰り返しになりますが、引当金の金額が大きく変わります。信用格付けが低い先に融資が増えると、引当金コストが大きく増えていきます。信用格付けによって引当金の割合、引当方法が細かく各行によって定められています。(金融庁のマニュアルに沿ってしっかりとした運用を行なっているのが一般的)

また金利条件にも関わってきます。信用格付けが高いほど低い金利、低いと高い金利になるのが一般的です。引当金コストを加味すると信用格付けが低い先には高い金利で融資をしなければ採算があわないからです。

信用格付を改善するために

信用格付けにとって重要な指標をいくつか上げさせていただきます。

まず1つ目はCF(キャッシュフロー)に関する項目です。経常利益、当期利益、減価償却。(フル償却後に経常利益となっていることが望ましい)

次に2つ目は自己資本比率です。これは高ければ高いほど財務の健全性が高いと判断されます。

最後に貸借対照表、損益計算書における各指標の変化です。貸借対照表では具体的に借入金の減少、現預金の増加、受取債権・棚卸資産のサイト短縮化(受取債権・棚卸資産÷月商です。短縮化していなくても大きく長期化していると問題視されます)損益計算書では売上の増加です。

各銀行によって信用格付を行う基準が違いますし、財務指標の重要性も多少違います。

自社の決算書の状況を判断する目安としてCRD(信用保証協会のスコアリングモデル)が非常に参考になると思います。銀行によってはそのまま信用格付けの参考としていたり、信頼できるスコアリングモデルかと思います。

大手の銀行、大きな地方銀行になればなるほど、過去の倒産、貸倒れリスクを分析し業種や地域毎にスコアリングを変えていたり、重視する指標を変えていたりもします。

例えば四国のある地方銀行では造船業の融資の割合が非常に高いです、独自に過去の決算や倒産率から数値を分析し、造船業についてしっかりとしたスコアリングモデルを確立させているかもしれません。

最後に、各銀行において大口の貸出先の決算書を入手すると膨大な作業に追われることにもなります。信用格付けが下がったりするとどの程度、決算に影響があるかなどを確認しなければなりません。それだけ信用格付けは、銀行にとって重要な業務といえるのです。

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