銀行員の異動

銀行業界

銀行員は定期的な異動時期があり、多くの銀行は3月がそれに該当すると思います。それ以外にも毎月のように異動があり、その情報に銀行員は注目し、その発表の前後は異動の話が銀行員間の話題の中心になります。人事部の同期から情報をいち早く聞き出そうと急に連絡を取り出したりする人も出ます。

異動は何のため

なぜ異動が定期的にあるのか、よくいわれるのが、顧客と関係が深くなりすぎるのを避けるということです。確かに若手、中堅職員よりも支店長を始めとした管理職の方が、早いサイクル1〜3年で異動します。

管理職の方が、ゴルフコンペ、会食などの接待、年末年始の賀詞交換会、周年パーティ、冠婚葬祭など、顧客とより距離が近くなる環境があるからだと思います。

若手が異動する理由として、環境が変わった中で新しい顧客を担当し、関係を構築、数字という実績を出すという中で、成長させるためと考えます。将来職位があがっていく中で、100戦練磨の経営者と対等に対話、交渉ができる度量を身に付けさせ、経験をさせるためと私は考えています。

異動後、新しい支店に行ったが馴染めず、辞めてしまう若手もおります。それは内部の人間関係、縁もゆかりもない地で、数字という実績を出さなければならないというプレッシャー、など理由は様々ですが、銀行員という人種はどのような社内外の環境におかれても順応していく必要があるのです。

そのため上位職になればなるほど、場慣れ、経験、というものが積まれていきます。よって銀行員のスキル、優秀さは数字のみで図れない精神的な強さ、マインドや経験も重視されます。

その人がどのような部署に在籍し、その時の上司は誰で、評価がどうだったということが異動時には残ります。その人の数字という実績が残るわけではなく、その時の上司がその人をどう評価したかが引き継がれます。数字はあくまでも実績をあげた方が評価される可能性が高いので重要だということです。

よって非常に好き嫌いも反映されたりしますし、運もあります、なので数字以外のいわゆる仕事振りというものも非常に重視されます。飲み会が好きな上司がいたら、飲み会に毎回行く、誘うなどで単純に評価が上がったりします。

当然、それは銀行だけではないでしょうが、ただ昔よりはそのような評価体制が見直されつつありますが。銀行も古い体質脱却しなければ、時代に取り残されるということに気付き、改革を進めていきつつあります。

ご栄転とは

銀行員は、誰かが異動した際必ず、ご栄転おめでとうございますといいます。それが過去、自分の上司や部下が異動したりした時も、電話をかけたりメールを送ったり、関係性によっては飲みに行き、ご栄転のお祝いをします。文化みたいなものですね。

支店で話をすると、支店の中では、支店長をはじめとするピラミッド構造があり、小さな政治があります。その中で自身の考え、主張をうまく伝えていき、実績を出すことで認めてもらい、次の支店ではよりピラミッド構造の上位の立場で異動できることが、いわゆるご栄転ということになります

本部から本部の場合は、本部の中では職位が上がる、わかりやすくいうと副部長→部長になるなどです。もしくは本部の中でも部署にピラミッド構造があり、上位の部署に異動になる。

本部から支店、もしくは逆の場合、社内において常識とされる基準で判断されます。5年、10年とその銀行にいると自然とわかってきます。ただ明らかに左遷、ご栄転ではない時にも、周囲に対しご栄転おめでとうございますというのは辛い瞬間かもしれません。

例えば本部の室長と支店長という役職が同格の職位である場合、室長→支店長となる支店の規模の大きさ、格で判断します。この部署の室長がこの支店の支店長だど、横滑りだな、格下げだなとか、わかってしまいます。

全ての人が出世のために仕事をしているわけではありませんが、同期が何百人もいて、自分の評価がどの程度かがすぐわかってしまうのが銀行です。同期の中で上位10%に入りたいなど、それがモチベーションになるのなら良いのではないでしょうか。

銀行という業界は、他の業界よりも出世欲の高い人たちの集まりだと思います。今まで難関大学の入試から、倍率が高いといわれる入社試験を勝ち抜き、周囲と競争する環境に慣れており、それが価値観、普通と考える人も多いと思います。

そのため入社後などに、社会で初めて挫折を経験する人たちも多いと思います。例えば東大を卒業しメガバンクに入社し、プライドが非常に高い人が、早慶卒でコミュニケーション能力が高く、良く気が利き、上司から気に入られる人に劣等感を抱いたり、評価で差がでたりなどです。

自分の人生何を重視するかですが、出世に興味がない、全くモチベーションにならない、逆にプレッシャーと感じるのであれば、銀行よりも他の業界、業種の方があっていると思います。

最後に自分が支えた上司がご栄転、自分の部下がご栄転すると、素直に嬉しいですし、頑張ってきて良かったなと思います。銀行員にとってはご栄転してもらう、するために仕事をしているという側面があるのが実情です。

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