創業社長

銀行業界

今まで出会い、貴重な話、仕事をさせていただいた中でやはり企業の創業社長は優秀で、情熱的で、パワフルな方が多いと感じました。印象に残っている方をお伝えしたいと思います。

大手メーカーに必要とされる企業

今では売上もグループで100億以上、日本において誰もが知る大手メーカーに対し部品供給を行う企業に成長。海外進出の際も、合弁で進出し、現地で加工技術を指導するなど、確固たる地位を築いている。

何もない状況、ゼロからはじめた時の経験を聞かせてもらいました。私が新人の時であり、仕事に対する向き合い方や会社員として守られていること、このような人と話ができることは銀行員ならではと感じました。

また業界のことを自分なりに勉強し、間違っていても良いから意見を持つこと、それが対等に話をする上で重要と感じ、当時業界新聞に毎日目を通しはじめたきっかけとなりました。

創業した時の状況は戦後であり、街中を歩き回り鉄屑をリアカーに集めて売り捌くということをしていたとお伺いしました。マンガやTVで知っているくらいの世界でした。それがスタートで、徐々に鉄を加工し販売するという事業に進出していったということです。

当然、鉄を加工しても、販売する先がないので毎日飛び込み訪問で朝から晩まで歩き回り、夜は鉄の加工技術を磨き、良い製品、必要とされるものができるよう研究したとのことです。正月なども関係なく365日働きずくだったらしいです。

大手メーカーへの部品供給のハードル、基準は非常に高く、製品の精度が認められないと当然納入できません。10年以上、地道な努力を続けていった時に、取引のきっかけがたまたま巡ってきて、それをモノにし、今でも続く取引関係を維持しているとのことです。

何が重要か、その社長は運が良かったと言っておられましたが、努力していたからこそ運が巡ってきたのかもしれません。あとは今ならこの仕事はしないと、戦後の日本経済の成長にたまたま乗れたと時代が良かったともおっしゃっていました。

そうですよね、今の時代はITやコンサル業などを創業する社長は多くいますが、鉄を加工しようという社長はそう多くはいないと思います。

創業社長にかなり共通しているのは、営業から現場、経理まで非常に幅広い業務知識、経験を持っており会社全体を見渡せることができる方を多いと思います。

あとは製造業の方で、指が一本ない方などもよくいらっしゃいました。機械に挟まれたなど、現場の苦労や危険性、下積みの経験が、会社経営に非常に生きているとおっしゃっており、非常に尊敬する方たちが多かったです。自分はこのような経営者には敵わないなとも思いました。

今も多くの社長を接する機会がありますが、自分が楽をするため、従業員が一生懸命頑張っているのに、社長自身は接待交際費を使って毎日飲み歩いたり、ゴルフをしたりなど、真摯に事業に向き合っていない社長もよく見られます。同じ経営者と一括りにしてはいけないと、その違いを見抜けるぐらいの目は養えたかなと思います。

ちなみに、冒頭のその社長はゴルフもやめたらしく、銀行の集まりや同業者の会合などにも参加されていませんでした。従業員が働くよりも自分はそれ以上に働く必要があると、従業員が働いているのに日中にゴルフをしている時間はないとおっしゃっていました。

元会社員から40代で創業

もともと会社員として管理職となったが、自身の事業意欲が抑えれず、力を試したいとのことから脱サラし創業された方です。

しかし一度事業に失敗し借金を抱えることとなりました、個人の資産を売却しなんとか借金は返済をしたものの、何もない状態から再スタートし、現在はグループで10億以上の売上を計上、海外にも現地法人を持つまでに成長させ、今でも第一線で社長として活躍されている方です。

会社員時代に海外駐在も経験しており、海外の商流やマーケットなどに非常に明るい方で、自分自身も海外での事業に興味がわき、勉強するきっかけとなりました。

何もない状況から何をしたんですかと聞くと、初めは個人で何でも仕入て販売していったと、そこから徐々に人を雇い、大きな売上にしていき、金融機関が相手にしてくれなかったため、自身で事業資金として300万程度を貯めたとおっしゃっていました。

今では大手企業数社を取引先として、部品供給できる企業まで成長しています。海外進出し失敗する例も多く見てきておりますが、社長は自身の海外経験と信頼できる人脈あったため、自信と勝算を持って進出できたとおっしゃっていました。

当時から海外は低い人件費で製造するための拠点ではなく、販売するマーケットとして考えるべきであると、今海外の人件費が上昇しており、製造拠点として考えていた企業が撤退する例が多くなっていることからも、そのような観点は非常に重要であったと考えます。

実際の工場や作業現場もみせてくださり、銀行員としての多くの経験を積ませてもらったと感じています。私の多くの提案も聞いてくださりました。当時の資金が工場の機械に使われ、お役に立てたことは今でも嬉しく感じます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました