信用保証協会

専門知識

信用保証協会とは信用力の少ない企業、もしくは今回のコロナ禍などのように大半の企業が信用力が一時的に低下する際のセーフティネット機能としての役割を担っていると考えています。大企業は利用することができません、法定中小企業と利用できる業種制限等があります。

想定される利用場面

実務上、銀行員が考える場面は業績が悪い企業、業績が浅く信用力が低い企業、特に創業して間もない企業です。創業5年以内であれば創業保証といって特別な枠もあり、積極的に利用を促します。

どこの銀行も信用力の低い企業に対し、無担保融資は消極姿勢であることが一般的です。銀行側からすると信用保証協会を利用するということは有担保融資とイコールになるのです。

創業保証については事業に対してのやる気、熱意を持っている方に対し創業、起業を促すという観点からもやや審査面で甘く、利用しやすい制度となります。審査面で甘いというのは信用保証協会ということで、銀行の審査は別途あります。

銀行の審査も信用保証協会が通れば融資しますというスタンスと、信用保証協会以前に銀行側で審査があり、しっかりと内容を確認してから申込ますというスタンスに分かれるかと思います。規模の小さい金融機関ほど前者の傾向が強く、規模が大きくなればなるほど後者の傾向が強くなると思います。

また今回のコロナ禍においてもありましたが、特別な枠が設けられることもあります。東日本震災やリーマンショックの際もありましたが、通常の枠とは別に法律上認められることがあります。

通常の無担保枠8000万円とは別枠で、無担保枠が設定されることが大半です。当然無審査とはいきませんが幅広く企業側が資金調達しやすいように審査面では通常よりも迅速に、やや

保証割合

またもう一つ信用保証協会の制度として80%保証か100%保証かの違いです。100%保証であれば銀行側のリスクはゼロとなります。銀行側のリスクがゼロであるだけで、銀行が利益を出せるかどうかは別問題です。

この議論は銀行員によっても考え方は分かれますね。私自身は100%だからといって何も考えずに融資はしないという考え方です。これは仕組みをわかっているかどうかだと思います。

仕組みとは銀行決算の仕組みと信用保証制度の仕組みの両方です。

100%保証であれば銀行決算において引当金を積む必要はないと考えますが、早期に破綻した際において倒産処理などの事後処理が発生します。その事後処理には当然銀行内で関わる人がおり、人件費、システム関連の処理で費用が発生します。

銀行によって損益分岐点は違うと思いますが、少なくとも1年以内に倒産すれば銀行にとってはマイナスとなるのではないでしょうか。創業融資の100%保証枠は金額が低いです、1500万円〜2000万円程度だと思います。貸出金利が2%程度とした際に、年間の金利収入は多くはないはずです。

信用保証制度ですが、最終的には国が保証するものです。簡単に言うと、信用保証協会は日本政策金融公庫へ請求し、日本政策金融公庫は国に請求します。ちなみに完全政府系の日本政策金融公庫は利益がどんなにプラスでもマイナスでも、損益計算上ゼロになります。利益は国に返還、もしくは補填されるためです。

国が日本政策金融公庫に補填する原資は、元々をたどると税金以外の何ものでもありません。銀行として、貸手側に一定の責任があると考えています。

通常の無担保枠とは別枠で、一定期間認められる有事の際の特別枠も基本的に100%保証になります。コロナ禍の対応でほぼ全ての金融機関は信用保証協会を利用した融資で貸出残高を伸ばしております。今後倒産件数が増加すると、当然に税金が投入されることとなります。すでに織り込み済であると思いますが。

日本の政治は、税金を投入して弱者の救済のみに目がいきがちです。生き残る企業は厳しい状況であったとしても柔軟に対応し、必要な業種、業界の中の仕事であればそれを担う企業が必ず現れます。

リーマンショック後に何が起きたか、金融円滑化方という法律ができました。業績が回復せずに、倒産が増加する前に日本はお金を返さなくても良いですという法律を作りました。簡単にいうと、返せなくなった企業は銀行側が金利のみの支払いで、元金の返済はほぼ無条件で猶予しますという法律です。

この法律で業績が回復した企業がある一方で、ただの延命措置にすぎず、通常の競争原理が阻害され、業界が活性化しない、商圏が飽和状態のままであるなど、ネガティブな意見もあり賛否両論でした。第一線で経営をされている企業の経営者は圧倒的に後者の意見を言う方が多かったと思います。

銀行側もしっかりと融資する際の判断を行うべきです、中長期的な業況回復がしっかりと見込まれる、雇用維持の観点や、地域経済に与える影響度合いなどをしっかりと確認しないといけないと思います。今回のコロナ禍において銀行側の対応も反省すべき点が今後みられると思います。

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