ホテル、旅館業の現状と今後

専門知識

コロナ禍の煽りを最も受けている業界の1つ、ホテル、旅館業の現在と今後について個人的な意見も交えてご説明したいと思います。

現在の置かれている状況

全てのホテル、旅館業が厳しいというのが現状です。特に温泉地や観光産業に頼っている市町村などの影響は甚大です。具体的な数値で言うとコロナ前の30〜40%程度の売上になっているのではないでしょうか。

比較的悪くないのが、少人数のみ宿泊可能な高級旅館などでしょうか。予約状況も悪くなく、景気などに左右されにくい体質であると言えます。インバウンドや旅行客を積極的に取り込んでいたビジネスホテルなどとは全く違うビジネスモデルであったと考えられます。

これからインバウンドが早急に回復するとは言えないです。そのため早期のビジネスモデル転換が必要なのですが、飲食業やサービス業等と違って非常に難しいのが現状です。

建設等に投下した資本の大きさ、借入金が大きく、重くのしかかっているからです。それが現在業界として非常に厳しいと言わざるをえない所以です。、旅館という巨大な箱と従業員を抱えている中で、どのようなビジネスモデルの転換ができるか、抜本的な改善策を私では現状思いつきません。

装置産業である故の宿命とでも言いますか、身軽ではないというデメリットがこのコロナで明るみになってしまいました。長い時間をかけて回復を待つ、外資や大手企業に非常に価格を下げて買収してもらうかが現実的なところではないでしょうか。

この事態を国として解決する、支援するために政府系金融機関を中心に、資本性劣後ローンという新たな資金の枠組みを作りました。資本生ローンという一つの調達手法の確立ということは当然ですが、目的としては民間銀行を中心としたバンクフォーメーションを確立することです。

端的に説明すると10年後、15年後に回復するまで返済を猶予し、資本金としてみなすことが可能。自己資本が既存する分の補填とし、財務基盤を増強、その間財務が既存しないため民間金融機関からの支援も得られるでしょうという内容です。

資本=株主としての意味合いも強くなり、事業者からとって見れば非常に心強い制度とはなっています。ただし審査のハードルは低いものではありません。しっかりとした計画、計画の達成シナリオが必要となっており、経営陣が真に向き合い、本気で取り組んでいくという意思が必要です。

資本性ローンは政府系金融機関にとって国の補償がある制度です。ただし100%補償ではありません、かつ超長期の制度となるためリスクもあります。審査のノウハウも必要となり高度な金融知識も必要となってくると思います。

直近では日本政策投資銀行がホテル、旅館業のために資本性ローンを中心に対応する専門セクションを立ち上げ、本格的に支援を行うと発表がありました。パフォーマンスではなく、しっかりと機能し、事業主にとって調達のパイプが広がるように願いたいと思います。

今後と業界の行方

資本性ローンの活用、コロナ制度融資で現預金を確保、その間は人員削減も含めた経費削減により耐え凌ぐといった厳しい状況が、少なくとも今後1〜2年は続くのではないでしょうか。さらには既存の設備の借入金の返済も今後大きくのしかかってきます。

今できることは回復が見込まれる今後1〜2年後を見据え、償還力を高めるためのアクションプランをしっかりと策定し、行動していくことが重要かと思います。

ただし一方で厳しいことを言うと、ホテル、旅館業の他、旅行代理店の影響は日本国全体にとって大きなダメージでは受けないと言うのが見解です。日本のGDPに占める割合が大きくない、そもそも日本のGDPの大半は圧倒的な内需で保たれているという事実があるためです。

マスコミなどは観光客の減少など、大々的に報道しますが、実態としては個人消費のインバウンドに占める割合など圧倒的に低いです。単純に煽っているだけとしか思えません。

ホテル、旅館業、旅行代理店などの業界をGO-TOトラベルなどの施策で日本の経済回復に大きく寄与するはずなど、そもそもなかったのです。日本経済の回復にとって観光や飲食業務を活性化は優先事項ではないと考えています。

旅行業界と政治な関係が深く、支援をしなければならないという状況に追い込まれての施策であったとしか言いようがありません。もう過ぎたことですが、今後同様のことをするべきではないというのが意見です。

現在のホテル、旅館業界はコロナという外部環境の影響を強く受けているのは事実です。ただし、インバウンドに過度に期待し、投資をし続けて拡大路線を続けてきた業界の経営ミスも当然あると思います。

インバウンドは一時的なものと判断し、投資を縮小、撤退をかなり前々から考えていくべきでした。事実、インバウンドからの脱却を早期に考え、ビジネスモデルの転換をすべく行動にうつしていた経営者もおります。今後も2極化が進んでいくものと思われます。

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