昔の支店長

銀行業界

自身入社以来10人程度の支店長に支えて来ましたが、その支店長が支えてきた更に昔の支店長の話だったり、他行の銀行員の友人から聞いた話。多少のネタ、誇張が入っているかもしれませんが、大きく外れてはいないはずです。

自由な生活

まずは待遇面について、現代とは比較にならないほど、高待遇だったみたいです。具体的には支店長になると確実に確定申告が必要になるといた時代があったみたいです。(給与所得で2,000万円以上)

今だとメガバンクや入社難易度が非常に難しい銀行の中でも、大店舗の支店長クラスにならないと達成しない水準なのではないでしょうか。今ですと地銀の支店長でも1,000万円いくかどうかといわれる銀行もあるくらいですので、どれだけ高水準かわかるでしょう。

続いて普段の生活面についてです。

当然、運転手付きの支店長専用車で、出退勤の送り迎え。接待なども終わるまで支店長車を待たせておき、自宅まで送り届けてもらう。冠婚葬祭、休日のゴルフの際も同様です。

支店長専用の社宅が準備される。支店の近隣であったり、駅近など利便性が良い場所が多い。綺麗で広いマンションや、地方などでは庭付き一軒家もあったらしいです。流石に日本でメイドさんを雇っていたという話は聞いたことありませんが。海外駐在などではそれもあったのでしょうか。

月の仕事の半分以上がゴルフと飲み会、冠婚葬祭の出席などの対外行事。当時は銀行の優越的な地位もあり、大半が顧客の費用で接待を受けていたことでしょう。支店長として支店内においても、顧客からもある意味崇められる立場であったのだと思います。今以上に絶対的な権力を持っていました。

出社も午後からだったり、出社しても数時間程度支店に滞在し、支店には書類に印鑑だけ押印して数時間滞在し、すぐに帰宅したりなど時間の使い方は基本的に自由でした。

今でも支店長など管理職になれば、出退勤などは基本的に自由で良いはずなのですが、始業には必ず出社し終業時間までは退社しない方が大半だと思います。

ゴルフが好きな支店長だと、支店長車で送り迎えをしてもらい、日中に打ちっぱなしにいったりもあったらしいです。ゴルフをお客さんとまわるのに迷惑をかけるわけにはいかないので、ある程度のレベルまでできるようにならないといけないという概念らしい。

飲むのが好きだと、接待も自らたくさんする。いやしてもらうように顧客に持ちかけたのかもしれません。担当したお客さんも言っていたことがあります、昔はゴルフとクラブで支店長を接待するのが義務みたいだったと、融資のスタンスもそれで変化していた時代なのかもしれません。

また接待以外にも社内で、支店の経費で飲み会をする。いや飲み会を部下に開催させていたのでしょう。

異動する際の餞別も二桁だったりしたらしいです。当然当時であれば受け取ります。(今は基本的に断る方が多いと思います)

支店長になるとあらゆる面で自由であったみたいですね。なので出世競争に勝ち抜くため、深夜まで仕事に没頭し、良い成績を残し、上司から好かれるめに日々働いていた側面があったのかもしれません。

今は若い方は出世意欲があまり高くない方も多いと聞きます。当時は出世するか否かで待遇も今よりもった差が開いた時代だったので皆さん必死だったのかもしれません。

今の時代を築き上げた

昔の支店長を羨ましいと思う面もあります。私も基本的に上司から時間や数字の管理をされたくないタイプで、自由に何事もやらせてもらいたいという方です。

ただ、一方で自分に昔の支店長がつとまるかといわれると正直わかりません。まずかなり体力的にハードだったと思います。昔はゴルフ、接待などで顧客との関係を深めるということが当たり前の時代であり、自身の体をかなり酷使したことでしょう。

そしてその時の顧客との関係があったから、今の取引がある。支店の重要先や地場の優良企業や老舗企業などはなおさらそうだったといえるのではないでしょうか。

今は倫理やコンプライアンスの観点から顧客とのゴルフや接待は制限があり、社内のルールに基づいて行わなければなりませんので、昔のような時代が来ることはないでしょう。その点から銀行と顧客との距離感、関係構築の方法は時代とともに変わったといえます。

昔の支店長の方がパワフル、支店で起こったことは全て自分の責任と考える、役員から何を言われても支店内の数字、人事などの運用を自ら決める、顧客のために審査部に乗り込んで、融資を通すために戦うなど、気概をもった方が多かったとも聞きます。

一方全てとは言いませんが、今の支店長はかなり弱体化しているかもしれません。基本的には出世するために役員の顔色を伺っている人たちが多いと思います。ゴマをすってばかりいる人も多いです。

私が支えた支店長の中にも役員数人と喧嘩してでも支店を守ろう、筋を通そうとした方もいらっしゃいました。銀行員としてではなくその人の生き方も現れるのでしょうか。

印象としては今の支店長はサラリーマン、昔の支店長は経営者としての側面が強いように思います。

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