私が営業担当者だった際に、ある上司から言われたことです。銀行員は企業の医者と同じ。その企業の病気・怪我=悪い部分を指摘し、適切な処方=適切な提案を行うこと。企業は病気・怪我に気づかないかもしれないので、定期的に検査=顧客と対話し、かかりつけ医=関係性を構築することが必要。
信頼されるかかりつけ医になること
銀行の営業担当者としても最も必要なこと、それは顧客としっかりと対話し、関係性を構築すること。企業にとって悩みや、困ったこと、前向きな投資等、なんでも話してくれるようになることです。
メイン行であれば、どこの銀行よりも早くに情報をキャッチすること、準メ以下の銀行であれば、メイン行の担当者よりも顧客と関係性を持ち、先に情報を少しでも手に入れること、一番良い提案を迅速に行うことができるかを考えることです。勝負するための条件は平等ではありません。
どこの銀行=病院に行くか、セカンドオピニオンも必要ですが、まずは最初に相談して欲しいと考えるべきです。
メイン行の座にあぐらをかいていると、積極的な銀行やできる営業担当者から肩代わり攻勢や大きな案件を奪われる事態にもなりかねません。
毎年の決算書について、これは最もその企業内容=容体を計る指標となります。人間でいうと毎年の定期検診の結果みたいなものです。通常であれば決算書は決算月+2ヶ月で税務申告を行います。どこの銀行よりも先に決算書を入手するように私自身心がけていました。
実力のある銀行担当者は、前期までの決算内容をしっかりとインプットし、その場で改善案や、顧客のニーズをいち早くキャッチしていきます。若手や経験が浅い銀行担当者との大きな違いです、一度持ち帰るということをしないのです。
実力を少しずつつけていくために、まずやれることは決算書の内容をその場で聞きまくり、興味を持って色々な質問をすることです。その内容を上司に報告し、銀行として顧客が抱えている課題解決のための提案=処方を行うようにします。実践あるのみです、いかに若いときに経験を積むかです。
企業にとって有能な医者になること
銀行の営業担当者は顧客の前で専門外とは言えません。顧客の悩みは様々です、外為、M &A、シンジゲートローン、デリバティブ商品、ビジネスマッチング、融資、預金、資産運用など多岐にわたります。
はじめから自分の苦手分野を作らないこと、伝えたい意図をしっかりと理解できるくらいの幅広い知識を持つことです。支店で対応できないことなどは本部の専門部署での対応も考えないといけないですし、最初の顧客ニーズを積極的にキャッチすることです。
経験ともにあらゆる分野に精通していき、経験とともにその業務がより深く理解していきますが。自分自身で積極的に学ぼうと思う姿勢、顧客にヒアリングしていくことをしなければ案件は勝手に降ってはきませんし、成長も鈍化していきます。これが銀行の営業担当者の成長スピード、能力の差に繋がっていきます。
有能な銀行員になると既存の取引先から新規先を紹介されてもらったり、まず初めにあらゆる相談をしてくれるような関係性になります。非常に頼られる、信頼されるようになるのです。銀行の担当者冥利に尽きると思います。
専門医になること
最終的にはある分野においての専門医となることを目指すことです。すなわち誰にも負けないような得意分野を作っていくことです。例えば市場部門に強くデリバティブ商品のあらゆる知識を持ち合わせている、事業再生の分野での知識が深く、コンサルティングのノウハウを持ち合わせているなどです。
銀行において専門医というのはかなり多くおります。本部職員がそれにあたります。ただしその本部職員が現場に出たときに、企業にとって付加価値の高い営業ができるかというと話が変わります。
現場においてはあらゆる分野の幅広い知識を持ち合わせている有能な医者であることがまずは求められるし、顧客の満足度も高いと思います。その上で専門医としての能力があると鬼に金棒となるということも理解しておくべきです。
本部で専門性を極めたからといって過信はしないことです。学べること、経験できる環境が整っているためということも理解することです。(ただその機会を与えてもらえることも非常に優秀で、努力の結果だということは自信を持って下さい)
本部職員が、支店の現場に出て思うように力を発揮できない。本部畑が長い人が、支店長になった時に本部のことはよく理解している、知っているというだけで、部下の統制、コミュニケーションもうまく取れず、支店の雰囲気などを悪くしてしまう、なども良くあります。
専門分野のみに特化した能力を身につけることも非常に自身の強みとなるのはいうまでもありません。ただし現場でのバランス感覚等も将来非常に大切になると思います。あらゆる分野での知識を習得しつつ、誰にも負けない強み、専門性を併せて身につけていくことが理想的です。
コメント