シンジケートローン

専門知識

シンジケートローンを、銀行員及び経営者にとって最低限の内容を簡単にお伝えします。シンジケートローンとは、大きな金額を何行か(特殊な場合を除き、3行以上が大半)の銀行団が集まり融資をする形態です。例えば10億円の調達をA行で5億、B行で3億、C行で2億のシンジケートローンを組成するなどです。

どのような時に

シンジケートローンを組成する時、活用する時はどのような場合なのでしょうか。それは大体1つに集約されます。それは大きな大きな金額の資金調達を行う時です。

選択肢は一行で調達する、何行かで調達する、シンジケートローンを組成してもらう。シンジケートローンは銀行に外注するイメージ、シンジケートローン以外の時は、会社が銀行に対し直接相談、交渉するイメージです。シンジケートローンの対義として相対調達と呼ぶことが多いです。

大きな金額を調達する時は、当然メイン行や取引が大きい銀行に相談することが多いと思います。銀行側からシンジケートローンでの調達を勧められ、話を聞くことが多いかと思います。

なぜ銀行側からシンジケートローンを進められるのか、大きな金額を一行で対応するにはリスクが大きい、既存の銀行の取引シェア、バランスが崩れるなど、銀行側の理由であることが入口となることが多いです。取引銀行の資金量、つまり規模にも左右されることが多いです。

会社側の理由としては会社の規模(資産、売上等)、業績が大きく関係する場合が多いです。

それではどのくらいの金額を調達する際に、シンジケートローンを組成することが多いのでしょうか。大企業では100億以上のシンジケートローンを組成することが多いのではないでしょうか。一方で中小企業の場合は最低でも5億以上と私は考えます。それ以下の金額になるとメリットが薄れる可能性が高いです。

5億以上は最低ラインで、10億以上が銀行側、会社側双方のメリットが享受できるラインとして妥当かと思います。ただし規模の小さい銀行などは3億などでも組成を行なったり、メガバンクなどでは20億、30億以上など各金融機関によって組成のための最低ラインは違ってくることとなります。

それではメリットとは一体なんなのでしょうか、銀行側と会社側それぞれのメリットについてご説明したいと思います。

シンジケートローンのメリット、デメリット

まずは銀行側のメリットとして、まずは金利以外に手数料として収益を確保できる。収益とはその年の銀行の決算に一括して計上できる売上のことです。投資信託の手数料や保険の販売手数料と同様にシンジケートローンを組成する手数料=収益です。

次にリスクシェアできる。大きな金額を一行で融資することはリスクになるのでそれを回避できることです。

シンジケートローンを組成する際のまとめる役を主幹事行と言います。通常はその会社のメイン行や上位の銀行が主幹事行となることが多いです。主幹事を任されることはその会社から信頼されている、大切な銀行として認識されているということです。最後のメリットとして名誉、周囲へのプレゼンス効果などがいえると思います。

銀行側のデメリットとしては、手間がかかる。案件を組成できるかどうか、採算が合うか合わないかなど検討する時間がかかる。主幹事行などになった際には今後の支援スタンスをしっかりと示す必要がある、簡単に引くことができないなどがあげられるでしょう。

続いて会社側のメリットは何でしょうか。

まずメリットとしては、手間がかからないことです。相対で各銀行に融資期間や金利など、細かい条件交渉をしなくて良い、調達の内容について説明する手間が省けることが上げられます。主幹事行に要望を伝えれば、代わりに各銀行に説明、書類の手続きなどを代理でやってくれます。

よって調達金額が少なかったり、2行でのシンジケートローンはメリットが薄れてしまいます。

次に期間、金利、その他の融資に関する条件面を統一できるということです。一概には言えませんが、金利自体については、低い銀行に合わせようとすることも十分検討することができ、その場合は金利が高い銀行はシンジケートローンに参加できない、参加しないということになります。

デメリットとしてあげられるのはコストです。シンジケートローンの場合オールインコストとして表現されることが多いです。シンジケートローンの組成手数料+金利です。例えば組成手数料1.0%で、金利0.8%とした時、年間のコストは組成手数料1.0%÷シンジケートローンの組成期間+0.8%となります。

シンジケートローンの組成期間が5年とした際には、1年間あたりオールインコストは1.0%となります。ただし組成手数料は組成した年に一括して支払いとなります。10億の組成金額であれば初年度に1000万円の手数料の支払いが発生します。

デメリットとして、手数料が発生するため負担が大きくなる可能性が高い。5000万円の運転資金などを1%以下で調達している企業などはそのように感じることが多いでしょう。あとは初年度の手数料支払いの負担が大きいことなどです。

シンジケートローンは1つの選択しに過ぎません、銀行と会社側双方のメリットを享受しつつ、お互いが大きな負担とならないように案件を仕上げていくことが必要になってきます。

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