不況業種である建設業について

専門知識

飲食業と並び、建設業も代表的な不況業種となります。私自身は飲食業よりも建設業の方が事業拡大や差別化の可能性が高いと考えます。建設業において不況時に煽りを受けやすいのは零細企業、個人事業主など下請け業者です。建設業の特徴などをまとめてお伝えします。

建設業と飲食業の比較

建設業にはゼネコンをはじめ、大手企業が多く存在します。地方においてもその地域で圧倒的な地位、シェアを誇っている地場の大手建設業者が必ず存在します。飲食業の大手企業もありますが、比較した際には、建設業の大手企業の方が数も多く、時価総額も大きな差があるのではないでしょうか。

入札、公共事業など、国や地方自治体において予算を持っていることです。このようなものは飲食業にはないですね。日本が高度経済成長をとげてきた中で、建設業はなくてはならない産業であり、今後もある程度国として守っていく必要がありますし、飲食業と比較しても金額ベースにおいて動く金額も全然違います。

建設業の問題点は、下請け業者へのしわ寄せやが厳しい業界であるということです。ある一定以上の仕事を受けられる中堅以上の業者は生き残りますが、不況になったり公共事業が減ると民間工事の受注競争が厳しくなり、下請け業者に外注する仕事も大きく減ることとなります。

工事自体の量が少ないと外注をせずに、自社の従業員で全てこなすことができてしまうからです。

飲食業にもいえることですが、リストラや人材の流動性が高い業界である。ただし建設業の方が、専門資格や技術の差が生まれやすく、スキルが高い人材は重宝されます。飲食業界よりは差別化しやすいと考えるのはそのためです。土木に強い企業、設備工事に強い企業、電気工事に強い企業など特長も出しやすいです。

建設業界において、リストラの一つの手法として独立を従業員に促すという方法があります。仕事を外注したり、依頼するといって自社の従業員を独立させます。会社の固定費を減らすために使われることもあるそうです。

個人事業主となった時の保険や年金などのデメリットや、不況時に仕事がなくなることも想定し、しっかりと考えた上で独立すべきです。景気が良いときは羽振りが良くなるのも建設業界です。

仙台や福島など、東日本大震災の復興の際に建設、土木業界の仕事が大きく増加しました。夜の繁華街は一時的に潤ったそうです。

建設業の資金繰り

建設業の財務、収支はとても弱い傾向にあります。借入が多い、現預金が少ない、経常収支比率がマイナス、受取債権回転期間が長い、棚卸資産回転期間が長いなど銀行の審査においてネガティブな要素が多いことがよくあります。

また建設業には誰でも確認できる経営事項審査というものがあります。(公共工事を入札するために必要、民間工事のみで事業を行なっている業者は取得していない場合も多いです)

公共工事を入札し直接請負ために必ず必要なものになります。財務と収支の内容、つまり決算書がどのくらい優良かをみるもので、スコアがでます。スコアが低くなると受注できる工事が限られたり、低い金額の工事しか受注できなくなったりします。

公に建設業者の信用力を計ったものであり、銀行においても審査の一部に利用したり、参考とすることもあります。少なくとも私は銀行に提出されている決算書の内容と経営事項審査の内容を突き合わせ、数値に相違がないかは必ずチェックします。

銀行員としては建設業の場合、決算書の内容はもちろん重要視するのですが、資金繰りというものをその他の業界と比較し非常に重視します。

なぜか。お金が入金されるのが業界特有であるからです。基本的には着工、中間、完成時の3回に分けれられる。入金がない間は、人件費、材料費などの経費が先行してして支払いが必要。よって手元にお金がないと仕事を受けることができない、または支払いが滞り、資金繰り倒産となることが最も多い業種になります。

そのため基本的には融資を行う時には、資金繰りを確認し、資金繰りに合わせた、つまり工事代金の入金時期にあわせた運転資金対応が基本になります。

ただし怖いのが連鎖倒産、工事の中止、遅れ、事故など、入金されると考えていたものが入金されないことです。ギリギリの資金繰りで回している会社は要注意目線になりますし、手元の現預金水準がある程度ないとその企業は日々綱渡りの経営になってしまいます。

また発注者の信用力も良く確認する必要があります。民間工事よりも公共工事、民間工事でも信用力が高い大手企業など、受注する側も見極める必要があります。総額の工事金額が大きいほど、大手企業や信用力の高い企業が手がけていることが多いです。

建設業界は日本の産業発展とともに成長を遂げてきました。引き続きその地域の再開発など、活躍する場はあるでしょう。ただし大きく景気に左右され、下請け業者など末端の業者になればんるほど割を食い、浮上するには努力が必要になってくる業界です。

また、銀行からの見方もネガティブな業界であることも確かです。引き受ける仕事の質と、経費の管理徹底から財務体質を徐々に改善していくしかないですが、努力を見てくれる人は必ずいると思います。

元請け業者や同業者など、思わぬところで手を差し伸べてくれるかもしれません。銀行が資金支援をしなかった際に、何度かそのような場面にも出くわしたこともあります。

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