当座貸越とコミットメントライン

専門知識

当座貸越、コミットメントラインは銀行にとって信頼のおける会社にのみ対応します。会社にとって使い勝手がよく、銀行にとっては融資をする一定の義務が生じるためリスクが高いとされることが一般的です。当座貸越よりもコミットメントラインがより銀行と顧客の契約が強くなり、一方的な解約ができないものになります。

当座貸越について

当座貸越の一般的な商品性をご説明します。短期貸出(1年以内の融資)、極度枠といわれる融資限度額をあらかじめ設定、金利についてもあらかじめ設定、それらを契約書に明記した上で顧客と契約を行います。

契約を行った後は、特段の事由がない限り一方的な解約はできないとされています。ただし、業績悪化や信用格付の悪化により、銀行側から解約の示唆、顧客に不利な条件面の交渉(金利引上げや極度枠の減額)をされたりします。

特段の事由とは、不渡や差押、破産申立や民事再生などの法的整理に関することが発生した際を指します。それ以外において、一方的な解約を通知するのみでは当座貸越枠というものを閉鎖できないことが一般的です。双方が合意に至ったという契約書の締結が必要です。

当座貸越は非常に顧客の使い勝手が良いです。1週間、1ヶ月、3ヶ月など自由に借入をする期間を設定でき、資金が余剰となった際には期限前に返済が可能、期限が到来した際に返済が困難であれば借換も可能な場合が多いです。

そのため、銀行側ははっきりとは示さないことが多いですが借換をし続けることで返済が不要の融資とも言えます。企業側にとっては安定的な資金、基礎で必要な運転資金を賄うことができるなど、資金繰りを考える上で非常にメリットがあると考えられます。

信用力の高い企業などでは、未使用の当座貸越の極度枠などが各銀行で設定されていたりすることが多いです。中には年商程度の当座貸越の極度枠を保有している中小企業もあったりします。当然大企業においても当座貸越などは資金繰り上、非常に重宝されます。

また金利自体などの条件面についても、1%以下で借入を行うことができるようになっていることも多く、やはり信用力の裏付けとなっていたります。

創業して間もない企業など、当座貸越の相談や申込をしたとしても対応はまずしてもらえません。5年、10年としっかりと取引を行い、返済実績を積んだ上で財務、収支などの企業体力、業績を総合的に加味し、銀行側が慎重に判断するということになります。

私の今までの経験上、赤字企業など要注意先に対して、信金や地銀など一般的な金融機関は当座貸越を提案、対応することは非常にネガティブなことが多いです。

コミットメントラインについて

当座貸越とコミットメントラインの違いについては、簡単にいうと銀行と顧客との契約がより強いということになります。一時的な業績悪化や赤字などでは簡単にコミットメントラインを閉鎖できないような契約になっていること、当然銀行側からも閉鎖交渉ができないような契約になっていることが一般的です。

銀行1行と企業、シンジゲートローンなど銀行の協調団と企業においてどちらもありますが、後者の方が一般的に多いと考えられます。銀行団としてしっかりと企業を支える上で、足並みを揃えるため、簡単に融資を引かないためなど、設定する意味がより強くなるためです。

中小企業では当座貸越の方が多いですが、大企業ではコミットメントラインの方が多いのではないかと思います。大企業にとっても大きな金額の融資枠を銀行の都合で簡単に閉鎖や、閉鎖交渉されたりしたら安定的な経営などできないためであると考えます。

また上場企業にとって株式市場における直接調達よりも、手数料を支払ったとしてもコミットメントラインの銀行からの間接調達の方がコストが低いということも実際にはあります。

冒頭、契約がより強いということを申し上げましたが、契約内容で当座貸越とコミットメントラインで大きな違いがあります。それはコベナンツと呼ばれる、企業側が銀行に対し約束をしなければならないことをあらかじめ決めておく必要があるということです。

一般的なコベナンツとしてあるのが、経常損益が連続して赤字とならないようにする、債務超過とならないようにするなど財務と収支に関する項目です。このコベナンツを守ることができなかった際には、金利引上げや極度枠の減額を検討するなどとされている場合が多いと思います。

ただし実務上、銀行は取引先企業の発展や成長のために取引先に対して安定的な資金供給を行うという社会的な責任、使命を持っております。よって一時的な業績変動で対応は変えられないということが実際です。

取引先においてはその地域で多くの雇用を生み出し、社会的な価値の提供を行なっております。それを間接的に支えているというのが銀行であります。メインであれば当然対応を即座に変えるということは許されたことではありませんし、下位行に対してしっかりとした支援スタンスを示すべきでもあります。

そのためにも当座貸越、コミットメントラインという商品は非常に効果を発揮しやすいといえます。

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